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私の心にそっと触れて(2023)

Touch My Heart Softly (2023)

タイトル写真以外は前回公演のものです。

 

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INFORMATION

私の心にそっと触れてチラシ表

 

 

 

 

 

私の心にそっと触れてチラシ裏

 

 

 

 

 

DETAIL

概要

Overview

「記憶を廻る、ある医師と妻たちの愛憎劇―愛は記憶されるのか?」

高齢化社会の難治の病であるアルツハイマー病。病気の進行により、記憶によって形作られる個人のライフ・ヒストリーが不確かとなり、パーソナリティーまでも変貌する時、愛はどう記憶されるのだろうか?

本作はアルツハイマー病で記憶を失っていく医師と、消えゆく過去に翻弄される家族の物語である。

高齢化が進む現代社会で不治の病であるアルツハイマー病に関する様々な作品が作られているが、本作の狙いは、認知能力の障害によっても損なわれることのない人間のアイデンティティと尊厳をドラマで可視化し、魂と心の深淵を探ることである。

脚本は病の世界に漂う主人公の心象風景と、その家族の修羅を克明に描きだす。最後に残る人間の核は果たして何か?アルツハイマーの世界を観客と俳優が共に旅をし、受容する体験でもある。

介護負担は女性に集中する。本作でも主人公の妻は重い負担に疲弊し、激しい葛藤や悲しみを経て、ようやく末期に患者との和解へとたどり着く。家父長的家族関係の中、介護負担の女性への偏りも焦点があてられる。

構想から2年を経て、綿密な取材と圧倒的な描写で描いた本作は、2021年12月に上演されマスコミからも注目され、高い評価を受けた。2023年の再演に当たり、新たなキャストと出会いドラマを深めていきたい。

"A love-hate drama around memories of a doctor and his family. Can Love Be Remembered?"

Alzheimer's disease is an incurable disease of an aging society. As the disease progresses, an individual's life history, which is shaped by memories, becomes uncertain, and even personality is transformed.

This play is the story of a doctor who is losing his memory due to Alzheimer's disease and his family who are at the mercy of their fading past.

While various productions have been made about Alzheimer's disease, an incurable disease in today's aging society, the aim of this play is to explore the depths of the soul and mind by visualizing in drama the human identity and dignity that are not impaired by cognitive impairment.

The script clearly depicts the mental landscape of the protagonist and his family in the world of illness. What is the core of the human being that remains in the end? It is an experience of journeying through and accepting the world of Alzheimer's disease together with the audience and the actors.

The burden of caregiving is concentrated on women. In this play, too, the wife of the main character is exhausted by the heavy burden, and after intense conflict and grief, she finally reaches a reconciliation with the patient at the end of his life. The play also focuses on the female burden of caregiving in the context of patriarchal family relationships.

The play was staged in December 2021 to media attention and high acclaim, and will be revived in 2023 with a new cast to deepen the drama.

 

<出演>

イメージ

公演情報

Performance Information

2023.12.13 ~ 2023.12.17 (終了しました)

中野 ザ・ポケット 〒164-0001 東京都中野区中野3丁目22−8 アクセス

電話 03-3381-8422 劇場ロビー 03-3382-1560 (公演期間中のみ)

 

<日程>

12月13日(水)19時

12月14日(木)14時

12月15日(金)14時 アフタートーク・西海真理(劇団朋友代表)/19時

12月16日(土)13時 /18時(舞台手話通訳付き公演)アフタートーク・秋山正子(暮らしの保健室/マギーズ東京代表)&TA-net

12月17日(日)13時 アフタートーク・上野千鶴子(社会学者/NPO法人WAN代表)

 

主催:メメントC(代表 嶽本あゆ美) 協力:山の羊舎

脚本・プロデューサー:嶽本あゆ美

演出:山下悟(演劇集団円・山の羊舎)

後援:認定特定非営利活動法人ウィメンズアクションネットワーク

助成:芸術文化振興基金

舞台手話通訳:特定非営利活動法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク Theatre Accessibility network「文化庁委託事業「令和5年度 障害者等による文化芸術活動推進事業 全国への舞台手話通訳派遣 公募プログラム」採択事業」

 「みんなで一緒に舞台を楽しもう!」 Mail: staff@ta-net.org

 公式ウェブサイト

 アクセシビリティ公演情報サイト

 公式ブログ

 公式フェイスブック

 

スタッフ:

制作 高木由起子

音楽協力 華子

美術 乗峯雅寛

照明 古宮俊昭(SLS)

音響 齋藤美左男(TEO)

舞台監督 中野祐

演出助手 野村瞳(演劇集団円)

撮影 泉邦昭(株式会社アレイズ)

字幕システム・機材協力 UDCast LIVE

 

出演:

外山誠二(UAM) 脳内神経医 清棲滋

河野しずか(劇団民藝) 滋の妻 清棲知佳

佐々木研(劇団民藝) 整形外科医 丸山達夫

駒塚由衣 (CES エンタテインメント)  患者のピアニスト 小林光子

茜部真弓(オフィスPAC) 滋の娘 清棲理子

渡辺聡(劇団俳優座) 理子の夫 鈴木聡

松川貴弘 訪問看護師 村田浩一

日沖和嘉子  ケアマネージャー 藤井陽子

簑手美沙絵(ミズキ事務所) フィリピン人介護士 佐藤ジャニス・ミヨン

木村愛子  滋の秘書 曽根村久恵

 

<アフタートーク>

12月15日 14時の回

西海真理

西海真理(俳優 / 劇団朋友取締役)

東京理科大学理学部応用科学科卒業後、俳優養成所を経て現在の劇団朋友に入団。

ケネステイラー氏に師事しイギリスのドラマ教育を学び俳優業を主に子どもから高齢者、障がいを持っている方々とのワークショップを展開している。若者養成にも努め専門学校やアマチュア劇団でも教えており、朗読WSを主宰しライフワークとしている。

公開中 https://www.youtube.com/watch?v=Nu0hr6QEHgI

 

12月16日 18時の回

秋山正子

秋山正子(㈱ケアーズ 白十字訪問看護ステーション統括所長 暮らしの保健室 室長/NPO白十字在宅ボランテイアの会理事長/認定NPOmaggie’s tokyo共同代表・センター長)

2016年10月東京都豊洲にマギーズ東京をオープン、センター長に。2011年高齢化の進む団地に「暮らしの保健室」を開設。住民の健康や介護に関する相談に応じ、地域医療・介護連携にも寄与している。2017年度Gooddesign賞特別賞受賞、2014年9月NHKスペシャル「新宿“人情”保健室」としてドキュメントされる。

公開中 https://www.youtube.com/watch?v=NiUU5z1RKgo

 

12月17日 13時の回

上野千鶴子

上野千鶴子(社会学者・東京大学名誉教授・認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長)

京都大学大学院社会学博士課程修了。社会学博士。専門は女性学、ジェンダー研究。高齢者の介護とケアも研究テーマとしている。『おひとりさまの老後』『ケアの社会学』など著書多数。近刊に『女の子はどう生きるか、教えて!上野先生』『在宅ひとり死のススメ』『おひとりさまの逆襲』(小島美里と共著)『史上最悪の介護保険改定⁈』(樋口恵子と共編著)『最期はひとり』(樋口恵子と共著)等がある。

公開中 https://www.youtube.com/watch?v=KNEpu4cZHf8

 

アーカイブ配信中

Archive distribution now available

料金 1,000円

上演時間 約130分

アーカイブ視聴期間 3日間 

チケット販売期限 2025/3/28 11:00 まで

*観劇三昧への登録(無料)が必要となります。

観劇三昧

 

配信に関するお問合せ  mementocdefg@gmail.com

 

チケット(終了しました)

Ticket

料金 (全席指定・当日は+500円)

字幕タブレット席(日本語/English) 5000円

一般前売 5500円 学生前売 3500円

ペア割 2名で10000円(事前決済・当日チケット引き換え)

障害者割引(事前決済・当日チケット引き換え) 5000円 障害者手帳を当日、受付にてご提示ください。

 

チケットお申込み(10月12日から発売予定)

コリッチ(一般席、学生席、ペア割、障害者割引、タブレット席) スマホ用

*公演日当日精算のお支払いは現金のみとなります。

*事前決済は銀行・ゆうちょ振込となります。

 

カンフェティ(一般席のみ)

フリーダイヤル 0120-240-540(平日10時~18時)

セブンイレブン支払い・事前発券でチケットがすぐに御手許に!

 

メール/FAXでのお申込み

mementocdefg@gmail.com FAX 044-857-0042まで(ご希望日時、枚数、氏名、ご住所、お電話番号 )をお報せください。折り返し確認の返信をいたします。

 

公演に関するお問合せ  090-3247-4937(制作)

 

<お客様へのお願い>

● お客さまの自己都合による予約キャンセルはご遠慮ください。公演中止の場合にのみ払い戻しを致します。

● 開演時間を過ぎてご入場されますと、ご指定のお席にお座り頂けない場合がございます。お時間に余裕をもってご来場ください。

● 駐車場はございません。車、バイクでのご来場はご遠慮ください。劇場周辺は住宅地となっておりますのでご配慮くださいませ。

● 感染症対策のため出演者との面会はご遠慮くださいませ。

● 劇場指定の感染症対策(検温、手指消毒・マスク推奨)にご協力ください。

聴覚やバリアフリーに配慮した取り組み

Hearing and barrier-free initiatives

この公演は鑑賞サポート啓発のための取組を実施しています。

 

● 障害者割引(-500円)がございます。障害者手帳を当日、受付にてご提示ください。

● 全公演、どなた様も字幕タブレット席がご利用頂けます。本編中に(日本語/English)で俳優のしゃべる台詞などを表示いたします。タブレット席は客席後方の指定の10座席です。数に限りがありますので必ず事前予約ください。

● 16日(土)夜18時の公演は舞台手話通訳を導入した公演です。舞台に近い場所で手話通訳がライブで行われます。その後のアフタートーク(秋山正子)でも、手話通訳を実施致します。(舞台手話通訳:NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク「文化庁委託事業「令和5年度 障害者等による文化芸術活動推進事業 全国への舞台手話通訳派遣 公募プログラム」採択事業」)

● 車椅子席は数に限りがあります。必ず事前に予約ください。お申込みはお電話かメールにて承ります。また補助者の方もご観劇される場合は、ご入場料金を頂戴いたします。その場合には、ペア割(2名で5000円)が適用されます。

(車椅子席予約 電話090-3247-4937  メール mementocdefg@gmail.com)

● 公演受付では筆談が可能です。チケットの引き換えの際は、ご予約への返信メールなどをご提示ください。

前回(2021)の批評(パンフレット寄稿)

Previous(2021) Review contributed in Pamphlet

パンフレット寄稿 「記憶と感情と演劇と」   佐川 佳南枝(さがわ かなえ)

 

 昨日、今日、明日、と連続した記憶を積み上げて生きていけることは、なんと幸せなことなのか。認知症の人の生きる世界を知った後では、強くそう思う。認知症になると少しずつ現実感が喪失していき、この世界に自分の存在している場所をみいだせなくなる。

 この舞台は一組の老夫婦を中心に演じられる。どのような夫婦の上にも、それぞれの年月が降り積もり、夫婦の物語が紡がれる。夫婦は毎日言葉を交わし、世界をふたりの会話の中で作り上げていく。しかしどちらかが認知症になり記憶がほころんでいくと、片方はもはや物語を一緒に紡いでいけなくなった事実に愕然とする。

 

「思い出になっていかないんだ。どこに行ったとしてもね。何をやってもね」。私が話を聞いた認知症の妻を介護する男性はそう嘆いた。またある人は、認知症発症当初は妻の変容を認められなかったものの、今は赤ちゃんのようになった妻に、昔とは違う「本当の夫婦の愛情」を感じていると語った。妻はすでに夫を夫と認識しておらず、「先生」と呼ぶ。「世話してくれる人、みんな先生じゃ」。子育ては妻任せだったが、今は幼児のようになった妻を育てているのだと笑う。夫は毎朝、鏡の前で妻の髪を梳く。

 

「うれしかったら泣きそうな顔するね。…髪といてやるとね、やっぱり思い出すんだろうな。昔のこととか、母親と子供との間のこと…」。

 

 記憶や言葉が失われ、他人からは容易に理解できない主体となっても、その相手の世界に意味を見いだし、理解しつづけようとする。それが愛というものだろうか。記憶が失われ、言葉が失われていったとしても、感情は残る。そして感情は一瞬のうちに伝わっていく。親密な暖かい感情も、高揚も、喜びも。包まれる手の感触によって、向けられるまなざし、声音によって。

 演劇では舞台から観客に、登場人物の様々な感情が一瞬に伝わっていくだろう。みなさんは誰に感情移入するのだろうか。認知症当事者の困惑や不安、介護者の悲しみや苛立ち。そういった錯綜する感情に共振した舞台の最後の場面で、なにか暖かな感情が舞台と客席とで共有されているであろうことに、認知症社会を生きていく希望をみいだしたいと願う。

 

<略歴>

佐川 佳南枝(さがわ かなえ)

京都橘大学健康科学部教授。作業療法士。

立教大学大学院社会学研究科博士課程後期課程修了。博士(社会学)。社会人経験の後、リハビリテーションを学び精神科の作業療法士に。社会学に興味を持ち、修士課程、博士課程と立教大学で学ぶ。認知症デイケアでのフィールドワークをもとに博士論文を執筆、それをもとに『記憶と感情のエスノグラフィー―認知症とコルサコフ症候群のフィールドワークから』(ハーベスト社、2017年)を上梓する。

熊本保健科学大学保健科学部リハビリテーション学科准教授を経て2018年より現職。

『記憶と感情のエスノグラフィー―認知症とコルサコフ症候群のフィールドワークから―』 佐川佳南枝 著   ハーベスト社

前回(2021)の批評(観客)

Previous(2021)Review by Spectators

岡町高弥

 

12月20日、メメントC+山の羊舎「私の心にそっと触れて〜愛は記憶されるのか?」(作•嶽本あゆ美、演出•山下悟)をシアター新宿スターフィールドで見る。 嶽本あゆ美は、「彼女たち」、「リアの食卓」と精力的に問題作を作り続けて、さらに年末にリアルで切実な作品を見せてくれた。 家族が認知症になって介護でとんでもないことが起きるというのは、今や当たり前の時代だ。 しかも、認知症の専門である脳神経内科医が認知症になったらどうなるのか。 記憶や感情、愛情はどうなっていくのか。 そして、家族は。身につまされる芝居だった。

68歳の脳神経内科で著名な教授だった清棲滋(外山誠二)は退官を迎えた日に足を骨折し、入院してしまう。ようやく退院を迎えたお祝いの日から始まる。 そのお祝いに長年連れ添ってきた妻の知佳(白石珠江)や、弁護士をしている娘の理子(茜部真弓)とその交際相手で製薬会社の鈴木(石井英明)、清棲夫妻の古い友人で整形外科医の丸山(佐々木研)が顔を揃えた。 滋の秘書だった曽根(田村往子)もいる。 多くの患者を診て最先端の治療をしてきたと自負する滋はなかなか退官を受け入れられない。 豪快に振る舞うが、どこかぎこちない。 そこに、有名なピアニストの小林(駒塚由衣)が現れる。 滋にピアニスト生命を助けてもらったというが、彼には彼女に関する記憶が全くなかった。 記憶の底では、ピアニストの小林はたびたび登場する。 滋のアルツハイマー病の症状は進展し、家族はなし崩し的に介護の世界に飲み込まれていく。私も母親が軽い認知症になっていったから多少はわかるが、介護には終わりが見えない。 認知症患者は記憶を集積することはできないが、喜怒哀楽は残る。 ケアマネの藤井(日沖和嘉子)、訪問看護師で医師で昔は滋の弟子だった岩井(山王弥須彦)、フィリピン人介護士ミヨン(簑手実沙絵)がやってきて、底なし沼のような介護生活が繰り広げられる。 医師で脳の専門家という自負が症状を悪化させる。

そのあたりの苦しみや葛藤を外山は鬼気迫る芝居で見せてくれる。さながらドキュメンタリーのような生々しさがある。介護するものの切なさ絶望感を白石が飄々とした芝居で見せる。絶望の果てに、愛の記憶が甦るところが感動的だ。

医療過誤や治験問題も絡んできてテーマは重層的だが、認知症の世界と介護の現場をエンタメとして見せるあたりは、脱帽した。 スターフィールド劇場は、小劇場の聖地、タイニイ・アリスの跡地と知って驚いた。 昔、ブリキの自発団や片桐はいりのデビュー作を見た記憶となかなか一致しない。 記憶とは曖昧なのだ。

 

その他の観客の感想

 

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