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太平洋食堂

The Pacific Refreshment Room

 

 

国際交流基金による無料一般公開中 To Free View  

 

 

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INFORMATION

2024.02.09

「太平洋食堂」が国際交流基金 STAGE BEYOND BORDERS Project による多国語字幕つきで再配信されました。

Free distribution of "The Pacific Refreshment Room" with multilingual subtitles restarted by STAGE BEYOND BORDERS Project of The Japan Foundation.

2023.05.01

観劇三昧にてレンタル配信が開始されました。

Rental distribution of "The Pacific Refreshment Room" started.

2022.03.20

国際交流基金STAGE BEYOND BORDERS Projectによる多国語字幕つきで無料配信が開始されました(終了)。

Free distribution of "The Pacific Refreshment Room" with multilingual subtitles started by STAGE BEYOND BORDERS Project of The Japan Foundation.

2021.10.07

門真国際映画祭2021にて大阪府知事賞、優秀作品賞、最優秀主演男優賞(間宮啓行 大星誠之助役)、優秀助演女優賞(明樹由佳 大星ゑい役)、優秀助演男優賞(齋藤慎平 平出修役)を受賞しました。

"The Pacific Refreshment Room" has won the most awards of Osaka Governor's Award, Excellent Stage Film Award,Best Actor in a Leading Role,Excellent Actor in a Supporting Role and Excellent Actress in a Supporting Role.

2020.12.06

「太平洋食堂」の公演が無事終了しました。

The performance of "The Pacific Refreshment Room" has ended.

DETAIL

概要

Overview

初演は2013年。門真国際映画祭2021にて大阪府知事賞、最優秀主演男優賞などを受賞。

熊野・新宮の医師・大星誠之助は、日露戦争開戦の年に洋食レストラン「太平洋食堂」をオープンした。それは万民が共に囲む平和の食卓を目指し、人々の生活を洋食献立で改善しようという試みであった。物語はその開店の日から始まる。祝いに招かれた町内の様々な人々が食事をしながら議論をする。そこには僧侶の高萩や、牧師の沖田の姿もあった。アメリカ帰りでドクトルと呼ばれ、町の人々に親しまれていたリベラリストの誠之助は、戦争景気に湧くその頃、反戦を唱え貧者と女性を助けようとする。 彼らは社会主義者である幸徳秋水と交流した為に、苛烈な思想弾圧にみ込まれる。史上最悪の冤罪事件である大逆事件を題材に、魅力的な登場人物をユーモアを交えて描いた歴史大作。

演出は初演時より藤井ごうが行う。藤井は歴史長編を得意とし、群像劇としての「太平洋食堂」を2020年の最終上演には法廷劇として更にダイナミックに進化させた。

Premiered in 2013. Received the Osaka Governor's Award and Best Actor Award at the Kadoma International Film Festival 2021.

Seinosuke Ohboshi, a doctor at Kumano in Shingu, opened a Western restaurant "The Pacific Refreshment Room" in the year of the Russo-Japanese War. It was an attempt to improve people's lives with Western menus, aiming for a peaceful dining table surrounded by all people. The story begins on the day of its opening. Various people in the town invited to celebrate have a discussion while eating. There was also the figure of Takahagi, a priest, and Okita, a pastor.

Seinosuke, a liberalist who was called a doctor returned from the United States and was familiar to the people of the town, tried to help the poor and women by advocating an anti-war at the time of the war boom. They are swallowed by fierce ideological repression because they interact with the socialist Kotoku Shusui. A historical masterpiece depicting attractive characters with humor, based on the worst false accusation case in history, the High Treason Incident.

This production has been directed by Go Fujii since its premiere. Fujii specializes in historical ensemble dramas and has further developed the final production of "The Pacific Refreshment Room" in 2020 as a courtroom drama in a more dynamic way.

公演情報

Performance Information

2020.12.02 - 2020.12.06

座・高円寺1

 

作:嶽本あゆ美(メメントC)   Written and droduced by Ayumi Dakemoto

演出:藤井ごう

作曲:中村華子、大西玲央

美術:乗峯雅寛

照明:和田東史子

音響:近藤達史

衣装:宮岡増枝(青年劇場)

床山:升田みずき

舞台監督:竹井祐樹(Stage Doctor Co.Ltd)

演出助手:佐藤萌子

方言指導:中瀬古健

映像収録・編集:泉邦昭(株式会社アレイズ)

出演:間宮啓行、吉村直(青年劇場)、清原達之(青年劇場)、明樹由佳、佐々木梅治(劇団民藝)、清田正浩、粟野史浩(文学座)、南保大樹(劇団東演)、遠藤好(劇団青年座)、山口雅義、中瀬古健、清水ひろみ、平野史子、山田悠貴、辻本健太、青山雅士、塚原正一(青年劇場)、原田真衣(青年劇場)、平良太宣(オフィスエルアール)、齋藤慎平(劇団AUN)

企画制作:メメントC

助成:日本芸術文化振興基金

提携:NPO法人劇場創造ネットワーク、座・高円寺

協賛:秋田雨雀・土方与志記念青年劇場

賞歴

Award Histry

2021年 門真国際映画祭2021にて大阪府知事賞、優秀作品賞、最優秀主演男優賞(間宮啓行 大星誠之助役)、優秀助演女優賞(明樹由佳 大星ゑい役)、優秀助演男優賞(齋藤慎平 平出修役)の最多受賞

2022年 国際交流基金STAGE BEYOND BORDERS Projectに認定

批評(映画監督 貞末麻哉子)

Review by Mayako Sadasue (Movie Director)

ドキュメンタリー映画監督 貞末麻哉子

演劇が照らす過去と現在 『太平洋食堂』

 

 2013年の初演以来、再々演となる「太平洋食堂」。ご縁あって(がどうしても都合がつかず)ネット生配信で観劇させていただいた。舞台は生だからこそのものだとは重々知りつつ、しかし4K のカメラ複数台でしっかりと撮影された舞台からは息使いさえ読み取れ、この時代だからこそ味わえる新たな芸術との出会い堪能した。背筋が寒くなりながら、熱き時代の熱を感じ、3時間があっという間で感銘感涙した。

 時代は日露戦争が始まった明治37年から44年。非戦を叫び、無政府主義を謳いながらユートピアをめざす社会主義者たちの運動が全国にあった時代の、和歌山県新宮市が舞台。新宮といえば愛おしき中上健次氏が数々描いた生地(土着文学の聖地)だ。

 その小さな町に、大逆事件で幸徳秋水らと共に死刑判決を受けた大石誠之助(貧しい人々に心を添わせる町医者)や、後に幸徳秋水の恋人となった菅野スガ(劇中では幽月名)、また一度は死刑を求刑されたが後に懲役刑に減刑された僧侶や牧師らが登場する。社会主義者らに与えた政府の弾圧の犠牲となった小さな田舎町の人たちのドラマだ。

 観ているとひたひたと背筋に刺してくるのが、この時代の政府がやっていることが今の政府のやっていることと類似していること。まさに、大逆事件が現代に深く打ち込んだ楔(くさび)が描かれる。茶色の朝が迫り来ていることを痛感する。

 

 同じ時代を生きた 石川啄木はこう詠んだ。

 

  「時代閉塞の現状をいかにせむ 

     秋に入りてことに かく思ふかな」

 

 以下、朝日新聞論座に嶽本あゆ美氏が書かれた文章を引用させていただく。

 『それはまさに現代において、思考停止に陥りがちな私達に響いてくる。どうせ何も変わらないとたかを括って服従してしまう方が楽だし、このコロナ禍で声をあげれば顔の見えない他人にネットで中傷される。

 日露戦争後の社会の疲弊は、救い難い社会の貧困を生み、国家主義という抗し難い圧迫を生んだ。まさに1910年の「現代」は、その後の歴史の分岐点であり、この21世紀の「現代」でも繰り返されようとしている。コロナ禍で疲弊する若年層や増える虐待、一人親家庭などの小さき人々の貧困は、本物の「レ・ミゼラブル」なのだ。

 芝居をやってる場合なのか? コロナ感染で中止になれば夢などすぐに破れるし、経済損失は目も当てられない。自問自答するうちに、稽古場で心が崩れ落ちそうになる瞬間がある。今を生きる舞台芸術に関わる誰もが抱える苦しみだ。芸術家はこの先、疫病の未来をどのように生きれば良いのだろうか?

 明治末期を生きた大石らが残した言葉は、俳優の身体から発されて「ともしび」のように煌(きら)めき、明日を生きる力を観客に手渡してくれるだろう。だからこそ芸術は生きる糧なのだ。』  

 .....引用ここまで。

 

 舞台の最終に、今再々演で追加された大逆事件裁判の大審院法廷での弁護士・平出修の最終弁論の言葉は重い。

 

 今現状に跳ね返って、ずしりと胸に突き刺さる。

 

<略歴>

貞末 麻哉子(さだすえまやこ)ドキュメンタリー映画監督

1986年 劇映画「ゴンドラ」を初プロデュース。以後ドキュメンタリー映画の制作に移行し、2001年 社会福祉法人訪問の家 『朋』の記録映画制作を機に映画制作のアジトとしてマザーバードを設立。2011年、静岡県富士市にある生活介護事業所を記録した 「普通に生きる~自立をめざして~」 完成。 2020年にはその続編となる「普通に死ぬ いのちの自立」が完成。現在、全国各地で上映中。

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